Novel

雨の日


「勝てない!」
リビングの中でいとこのざくろが叫ぶ。
「しょーがねえだろこのゲームおれは結構やりこんでるんだから」
「もっとこう、勝てる遊びがしたい」
「例えば?」
「バスケとか」
「おれが確実に負けるじゃねえか」
「外出たいよぉ~」
今日は雨、活発で体力が有り余ってるざくろにとっては退屈極まりないのだろう。
「良いじゃないか、たまにはインドアな遊びでも楽しもうぜ」
「インドアな遊びって何さ」
「そうだな…」
普段してることと言えば、読書、テレビゲーム…2人で楽しめる遊びがすぐに思いつかないところが残念だ。
「絵、なんてどうだ?」
「お絵かきぃ?」
「互いの似顔絵とか描くんだよ」
「なんか学校の授業みたい」
「新しい道具も要らないし良いだろ?」
「まあグレンと一緒に授業受けてるって思えばアリかも!」
夏休みの思い出の品が増えそうだ。

分けるタイプのアイス


「じゃーん。パピコ買って貰っちゃった!」
お母さんとの買い物から帰宅するや否や、私はベッドの上で本を読んでいるいとこのグレンに報告しに行った。
「良いじゃん、食べようぜ」
本を閉じて向き直るグレン。この子もアイスには目が無いのだ。
「くーっ!やっぱり夏のアイスが一番美味しいね!」
「いつでもアイスは美味いだろ」
「いやーでも夏が旬だと思うなぁ私は」
「それはそうかもだが......」
急にグレンが黙る。アイスは冬に食べても美味しいのはそうだけど何も黙らなくても良いじゃないか。
「どうしたの?グレンくーん?」
「いや、ざくろっていっつも分けるタイプのお菓子を買ってきてもらうよな」
あーなるほど、グレンは私が気を使ってるんじゃないかって思ってるみたいだ。グレンは身体があまり強く無いから夏の間、他の子と同じように外で遊べない日が多い。私はグレンは生意気だけどその分?賢いし、ユニークな所があるから一緒に遊ぶのが好きだけど、グレンは私が気を使って一緒に居るんじゃないかって思う事が多いみたいだ。
「お母さんがケチだからだよ」
「えっ」
「前、雪見だいふくを1つだけ買って貰った事あるでしょ?ありえないよね、雪見だいふくは2個食べたいに決まってるじゃん!」
「あぁ、まぁ」
「単純にお母さんが2人分買うのを嫌がってグレンくんと分けなさいねって言ってるだけだから」
「そうか」
グレンは少し安心した顔でパピコを食べるのを再開した。
「ま、雪見だいふくを1個しか食べられないのは不満だけど、パピコを分けられる友達が家にいるってのは最高かも」
夏休みの間だけ一緒に遊べるこの友達のことが私は好きだ。

肝試しがしたい話


「……肝試しがしたい」
「急に何なんだよ」
いとこのざくろはいつも突拍子もないことを言う。きっと今回も大した理由は無いのだろう。
「いや、青春って感じが我々には必要だと思ったんだよね」
「お前がどうしてもっていうからゲームに付き合ってやってるのにまだ不満か」
「でも夏休みだよ?!もっと夏らしいことがしたいと言うか」
「それで何で肝試しになるんだよ」
「夜に歩くだけなら虚弱なグレンでも一緒に楽しめるかなって」
「悪かったな虚弱で」
なぜかざくろはおれと遊ぶことに関して必死だ。今日だっておれを置いて親と出かければ良かったのに。
「グレンはさぁ、オバケとか得意?」
「オバケなんていないだろ」
「ふーん」
しばらく沈黙が続いた。ゲームの音だけがリビングの中で響く
「ヒッ」
思ってもいない声が喉から出る。ざくろだ。ざくろがおれの背中を指でなでた。
「お前余計なことばっかりするんじゃねえよ!」
「ハハハ」
ざくろはいつも突拍子が無い。